「銀の認定」とは?概要や取得メリット、確認事項などを紹介
目次[非表示]
- 1.「銀の認定」とは?概要や取得メリット、確認事項などを紹介
- 2.銀の認定とは、健康優良企業認定制度から与えられる認定
- 3.健康優良企業認定制度と健康企業宣言の役割
- 4.健康優良企業認定制度に参加できる企業の条件
- 5.銀の認定と金の認定の大きな違い
- 5.1.銀の認定に必要な取り組み例
- 5.2.金の認定に必要な取り組み例
- 6.銀の認定を取得するメリット
- 6.1.経営陣・従業員の健康リテラシーが向上する
- 6.2.運動習慣が改善する
- 6.3.食習慣が改善する
- 6.4.受動喫煙防止策で職場環境が改善する
- 6.5.施設の改善のきっかけとなる
- 6.6.生産性が向上する
- 6.7.自社イメージが向上する
- 7.銀の認定への流れ
- 8.銀の認定の申請に必要な提出書類
- 9.健康優良企業認定が受けられなかった場合の対応
- 10.銀の認定を目指すなら、「マイナビ健康経営」の活用をご検討ください
「銀の認定」とは?概要や取得メリット、確認事項などを紹介
企業で従業員の健康維持・増進に取り組んでいるご担当者の中には、健康経営優良法人の認定を目標に掲げている方も多いのではないでしょうか。例えば東京都の中小企業が健康経営優良法人の認定を受けるには、まず「健康企業宣言」を行い、健康優良企業「銀の認定」を受ける必要があります。
健康優良企業認定制度は、組織として健康づくりに取り組むことを内外に宣言する健康企業宣言を行い、一定の成果を挙げた企業を健康優良企業として認定します。企業は、取り組み実績に応じて銀の認定または金の認定を受けるのが健康経営優良法人の認定の流れです。
今回は、健康経営のファーストステップともいえる銀の認定について、概要や参加条件、取得メリットを詳しく解説します。取得に必要な申請の確認事項も具体的に紹介しますので、ぜひお役立てください。
銀の認定とは、健康優良企業認定制度から与えられる認定
銀の認定は、健康保険組合連合会東京連合会が実施する健康優良企業認定制度において、一定の成果を収めた企業に与えられる認定です。認定は、健康企業宣言東京推進協議会が定めた「評価基準と確認方法」にもとづく審査で、80点以上の評価を得た企業に認定証が発行されます。
健康企業宣言東京推進協議会とは、東京都や健康保険連合東京連合会、東京商工会議所など13の団体で組織された協議会です。
東京都内で事業を営み、健康保険組合に加入している事業者が健康経営優良法人の認定を受けるには、まずは銀の認定を目指す必要があります。
【参照】健康保険組合連合会東京連合会「健康企業宣言「銀の認定」・「金の認定」を目指しましょう」|健康保険組合連合会東京連合会
https://www.kprt.jp/contents/health/
健康優良企業認定制度と健康企業宣言の役割
銀の認定を受けるためにまず理解しておきたいのが「健康優良企業認定制度」と「健康企業宣言」です。
健康優良企業認定制度は、健康企業宣言東京推進協議会が運営する制度です。同協議会は、都内の中小企業による健康づくりの取り組みの支援・普及・促進を目的として設立され、下記の機関が参加・連携しています。
<健康企業宣言東京推進協議会の参加機関>
- 医療保険者:健康保険組合連合会東京連合会、全国健康保険協会東京支部
- 経済団体:東京都商工会連合会、東京商工会議所、東京都商工会議所連合会
- 自治体:東京都
- 各関係団体:東京都医師会、東京都歯科医師会、東京都社会保険労務士会、東京都薬剤師会 など
健康優良企業として認定された企業は、取り組み実績に応じて銀の認定または金の認定を受けることができます。なお、認定後は、健康優良企業ロゴマークや認定ロゴマークをウェブサイトなどに掲載することが可能です。
【参照】東京ニットファッション健康保険組合「「健康企業宣言」および「健康優良企業認定制度」について」|東京ニットファッション健康保険組合
https://www.kenpo.jp/member/checkup/sengen_a.html
健康優良企業認定制度に参加できる企業の条件
健康優良企業認定制度に参加できるのは、東京都内の医療保険者である協会けんぽ東京支部、健康保険組合、国民健康保険組合のいずれかに加入している企業および団体です。
なお、東京都以外に所在地がある企業や団体でも、前述した医療保険者に加入していれば健康企業宣言を行うことができます。
銀の認定と金の認定の大きな違い
健康優良企業の認定には、銀の認定と金の認定の2種類があります。金の認定は銀の認定の上位にあたり、求められる取り組みが多く、審査のハードルは高くなります。また、金の認定を受けるには、あらかじめ銀の認定を取得しておかなくてはなりません。それぞれ認定に必要な取り組み例について見ていきましょう。
銀の認定に必要な取り組み例
銀の認定で求められるのは、職場の健康づくりに取り組むための環境整備です。
「100%健診受診」を必ず宣言した上で、下記の6項目について取り組むことを宣言し、6ヵ月以上の継続的な取り組みが求められます。
<銀の認定で求められる取り組み>
- 健診結果活用
- 健康づくり環境の整備
- 食事管理
- 運動
- 禁煙
- 心の健康
金の認定に必要な取り組み例
金の認定では、銀の認定で求められる取り組みに加え、従業員の家族の健康づくりや、安全衛生にも取り組むことが求められます。具体的な項目は下記の6つです。
<金の認定で求められる取り組み>
- 健診・重症化予防
- 健康管理・安全衛生活動
- メンタルヘルス対策
- 過重労働防止
- 感染予防対策
- 健康経営
銀の認定を取得するメリット
銀の認定の取得には、さまざまなメリットがあります。ここでは、その一部をご紹介します。
経営陣・従業員の健康リテラシーが向上する
健康企業宣言を行うと、「健康企業宣言 宣言の証」が交付され、健康企業宣言取り組み企業として登録されます。交付された「宣言の証」を社内に掲示するなどして宣言の実施を周知すれば、経営陣、および従業員の健康に対する意識の向上が期待できるメリットがあります。
運動習慣が改善する
銀の認定に求められる項目のうち「運動」では、業務中に体操やストレッチを継続的に取り入れること、階段を活用して歩数を増やすことの従業員への周知と実践が評価されます。こうした積極的な運動機会の提供により運動習慣が定着すれば、従業員の健康づくりに役立つというメリットがあります。
食習慣が改善する
銀の認定に求められる項目のうち「食」では、従業員が日頃の飲み物に気を配っているかどうか、食生活を乱さない取り組みを行っているかどうかが問われます。掲示やセミナーなどによる従業員への周知といった取り組みを実践することで、従業員の食習慣の改善が見込めるのもメリットです。
受動喫煙防止策で職場環境が改善する
受動喫煙防止策の実施、たばこの害についての周知も銀の認定に必要な取り組みです。喫煙ルールの設定や、専用喫煙室の設置、敷地内を全面禁煙にするなどの施策は、受動喫煙防止に効果があり、従業員の職場環境の改善につながるメリットがあります。
施設の改善のきっかけとなる
健康づくりのための職場環境として、銀の認定の評価基準では「健康づくりを話し合える場の提供」「健康測定機器の設置」などを挙げています。こうした機会や機器を提供することで、施設の改善と充実が見込めるのもメリットです。
生産性が向上する
健康企業宣言を行い、銀の認定を取得すれば、従業員の健康づくりに対する経営陣の意思を示すことができます。経営陣の本気度が伝われば、従業員も積極的に健康づくりに取り組むようになるでしょう。心身ともに充実した状態で業務に取り組める従業員が増えれば、生産性が向上するという大きなメリットにつながります。
自社イメージが向上する
健康企業宣言は、社内外に向けて自社が健康経営に取り組むことを宣言するものです。取引先や株主、顧客、求職者、投資家など、あらゆるステークホルダーが企業の働き方への配慮に注目する今、銀の認定は対外的なイメージの向上に直結するというメリットがあります。
銀の認定への流れ
ここでは、銀の認定を目指す上での流れを具体的に見ていきましょう。銀の認定を受けるには、大きく下記のようなステップをクリアしていく必要があります。
1. 健康企業宣言を行う
まずは、経営者や健康づくり担当者を中心として、健康経営に取り組む体制を整えます。「健康企業宣言チェックシート」を使って自社の現状を分析し、具体的な取り組み内容を決めましょう。
取り組み内容が決まったら、参加手続きをします。また、健康宣言を行ったことを従業員に伝えることも大切です。
2. 健康づくりへの取り組みを開始する
健康企業宣言の申込みをすると、「健康企業宣言 宣言の証」が自社に届きますので、取り組み内容を実践していきます。銀の認定を受けるには、宣言後6ヵ月以上、健康づくりの取り組みが必要です。
3. 健康企業宣言実施結果レポートを提出し、銀の認定証が交付される
健康づくりの取り組みを継続したら、取り組みの振り返りとして「健康企業宣言実施結果レポート」を健康保険組合へ提出します。そのレポートが、健康優良企業認定の達成基準とされている合計点数80点以上であると、「銀の認定証」が交付されます。
銀の認定証が交付されたら、次は一歩進んで、安全衛生にも取り組んでいることを証明できる「金の認定証」へとチャレンジしましょう。金の認定証を受けるには、「健診・重症化予防」「健康管理・安全衛生活動」「メンタルヘルス対策」「過重労働防止」「感染症予防対策」「健康経営」の6項目に取り組むことを宣言する必要があります。
銀の認定の申請に必要な提出書類
銀の認定の申請に必要な書類は、「健康企業宣言実施結果レポート」と「確認書類」「添付資料(エビデンス)」の3点です。
なお、添付資料については、下記の条件を満たす必要があります。添付資料なしの場合は採点不能と判断されてしまいますので注意してください。
<添付資料の条件>
- 質問項目ごとに取り組み内容がわかる資料を用意すること
- A4サイズに統一すること
- 個人情報が含まれる資料は必ずマスキングすること
- 掲⽰物や機器設置、受動喫煙防⽌策について、複数の事業場がある場合はすべての事業場の取り組み状況がわかる資料を用意すること
銀の認定に必要な書類の提出先と提出期間
書類は、自社が加入している健康保険組合に提出しましょう。なお、提出期間は状況により変化します。健康経営の宣言から6ヵ月経過後、健康企業宣言実施結果レポートの自己採点が健康優良企業認定の達成基準である80点以上となった時点でも提出は可能です。
また、健康経営の宣言期間終了(宣言日から1年後の月の末日まで)を待ってから提出する方法もあります。
<健康企業宣言実施結果レポート提出の手順>
- 宣言6ヵ月経過後~宣言登録期間終了までに自社が加入している健康保険組合へ提出
- 各健康保険組合で内容を確認後、健康保険組合連合会東京連合会に提出
- 健康保険組合連合会東京連合会の審査を経て、健康優良企業の銀の認定を交付
健康保険組合連合会東京連合会の健康企業宣言実施結果レポートの締切日は毎月末日です。そのため、各健康保険組合への受付締切日は、東京連合会の健康企業宣言実施結果レポートの締切日の半月程前に設定されています。具体的なスケジュール例は下記のとおりです。
<健康企業宣言実施結果レポートの提出スケジュール例>
- 健康保険組合締切日:2023年10月11日(水)(※)
- 健康保険組合連合会東京連合会締切日:2023年10月31日(火)
- 認定:2023年12月5日(火)
※健康企業宣言日から1年後の月末に健康経営の宣言期間終了とした場合は、その翌月の中旬が目安です。
【参照】関東ITソフトウェア健康保険組合「健康企業宣⾔STEP1 銀の認定」|関東ITソフトウェア健康保険組合(2022年6月)
https://www.its-kenpo.or.jp/documents/kanri/datahealth/gin_sitsumonnaiyounokaisetsu_4.pdf
健康優良企業認定が受けられなかった場合の対応
健康優良企業を目指して健康企業宣言をしたものの、健康優良企業認定を受けられなかった場合はどうすれば良いのでしょうか。
仮に認定されなかった場合でも、「健康企業宣言実施結果レポート」を提出していれば、取り組み企業の登録期間(宣言から1年)を更新することで再度のチャレンジは可能です。認定されなかった際は、健康づくり担当者を中心に実施結果を見直し、達成できなかった点について取り組みの改善を目指しましょう。
なお、認定をあきらめる場合は、健康保険組合に「辞退届」を提出しなくてはなりません。自社の体制が不十分で取り組みの達成が見込めないなどの事情がある際は、いったん辞退届を提出し、時期を見て再チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
銀の認定を目指すなら、「マイナビ健康経営」の活用をご検討ください
銀の認定を受けることには、企業にとってさまざまなメリットがあります。一方で、手続きに注意点は多く、担当者がやるべきことも多岐にわたります。自社だけでは達成が難しいこともあるでしょう。
「マイナビ健康経営」では、銀の認定の取得をバックアップする「マイナビ顧問」サービスを展開しています。「健康経営優良法人認定制度の認定を受けたい」「認定されたが、今後も継続できるか不安」といったさまざまな課題がある企業さまに、課題解決に役立つプロフェッショナルをご紹介します。健康経営優良法人認定制度に関するお悩みがありましたら、「マイナビ健康経営」へお気軽にご相談ください。
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