自己肯定感とは?高い人・低い人の特徴と高め方を解説
「自己肯定感」という言葉をご存じですか?
自己肯定感は、仕事に取り組み、人間関係を築くためのベースとなり、人生をいきいきと歩む力にもなる大切な感覚だといわれています。しかし、その具体的な意味やメリットは、あまり知られていないかもしれません。
そこで本記事では、自己肯定感の意味や、高い人と低い人の特徴、高めていくための方法などについて解説します。
目次[非表示]
- 1.自己肯定感とは、ありのままの自分を肯定できる感覚のこと
- 1.1.自己肯定感と近い意味を持つ言葉
- 1.2.日本の若者は自己肯定感が低い傾向がある
- 2.自己肯定感が高い人のよくある特徴
- 3.自己肯定感が低い人のよくある特徴
- 3.1.他人と比較してしまう
- 3.2.トラウマを抱えている
- 3.3.努力し続けることが難しい
- 3.4.不安になりやすい
- 3.5.承認欲求が強い
- 4.自己肯定感が高いことのメリット
- 4.1.仕事で活躍できる
- 4.2.失敗しても立ち直れる
- 5.自己肯定感が低いことのデメリット
- 5.1.挑戦を避ける
- 5.2.良い人間関係を築くことが難しい
- 6.自己肯定感を下げてしまう良くない考え方
- 6.1.完璧主義
- 6.2.ネガティブな思い込み
- 7.自己肯定感の高め方
- 7.1.思い込みと事実を切り分ける
- 7.2.自分を許して励ます
- 7.3.小さな成功を積み重ねる
- 8.自己肯定感を高めて自分らしく働こう
自己肯定感とは、ありのままの自分を肯定できる感覚のこと
自己肯定感とは、「ありのままの自分を肯定できる感覚」のことです。自分を他人と比べることなく、ありのまま受け入れ、尊重することを指します。
自己肯定感があると、新しいことに挑戦したり、物事を前進させたりする力が生まれると考えられています。また、家族や友人、職場の仲間などの人間関係全般、そして仕事においても喜びや成功の土台になるといわれているため、生きる上で大切な感覚といえるでしょう。
自己肯定感と近い意味を持つ言葉
自己肯定感と近い意味を持つ言葉がいくつかあります。そのひとつが、自分の能力や価値を信じるという意味を持つ「自信」です。
しかし、自信は実績やステータスなどが根拠となりますが、自己肯定感には根拠になるものがありません。特に根拠がなくても自分を認め、肯定できることが自己肯定感の特徴といえます。
もうひとつは、アメリカの心理学者アルバート・バンデューラが提唱した概念「自己効力感」です。自己効力感とは、困難な状況に直面しても「自分なら目標を達成できる」と思える自信や期待のことですが、自分の能力に対する自信や期待であるため、ありのままの自分を肯定できる自己肯定感とは異なるといえるでしょう。
【参考】マイナビキャリアリサーチLabo 用語集「自己効力感」|株式会社マイナビ
https://career-research.mynavi.jp/glossary/research-page28/
日本の若者は自己肯定感が低い傾向がある
2019年の内閣府の調査によると、日本の若者は諸外国に比べて自己肯定感が低い傾向があります。
ここには、「謙遜」「謙虚」といった日本人の国民性が関係しているとする意見などがあるといわれています。
【参考】内閣府「令和元年版 子供・若者白書」|内閣府(2019年6月)https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12927443/www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/r01honpen/pdf/b1_00toku1_01.pdf
自己肯定感が高い人のよくある特徴
自己肯定感が高い人には、いくつかの特徴が見られます。主な特徴は下記のとおりです。
自分軸がある
自己肯定感が高い人は、明確な価値観や判断基準、言い換えると「自分軸」を持っています。そのため、他人からの評価に左右されない強さがあり、自分の意思にもとづいて行動できるといえるでしょう。反対に、他人には他人の価値観があることを尊重し、それを受け入れることもできると考えられています。
前向きに取り組める
物事に対し常に前向きに取り組めるのも、自己肯定感の高い人に見られる特徴です。自分自身を肯定しているため、考えや行動、発言も自然と前向きなものになります。苦手なことでも、苦手を事実として受け入れながら積極的に取り組むことができると考えられています。
努力を続けられる
自己肯定感が高いと、夢や目標に向かって努力し続けられるといわれています。困難が立ちはだかり、目標を達成できない状態が続いても、そういう自分自身を肯定しているため努力し続けることができるのかもしれません。
失敗を恐れていない
失敗を恐れていないことも、自己肯定感が高い人によく見られる特徴です。物事に取り組む際には常に前向きであるため、失敗することをあまり考えない傾向があります。たとえ失敗しても、失敗した自分を受け入れられるため、新たなチャレンジへと切り替えていくことが可能です。
他人に寛容
前述のとおり、自己肯定感が高い人には他人の価値観も尊重できる寛容さがあります。だからこそ、他人の意見に耳を傾け、自分の意見もはっきりと言える傾向があるため、良好な関係を築くことが期待できます。
自己肯定感が低い人のよくある特徴
自己肯定感が低い人にも、いくつかの特徴が見られます。主な特徴は下記のとおりです。
他人と比較してしまう
自己肯定感が低い人は、何事もすぐに他人と比較してしまう傾向があります。ありのままの自分を受け入れることが苦手なため、他人との比較によって自分の存在価値を確認しようとします。自分を他人と比べることは成長につながる面もありますが、劣等感や自己嫌悪につながってしまう可能性もあります。
トラウマを抱えている
トラウマを抱えていることも、自己肯定感の低い人に見られる特徴です。親が厳格であったり、大きな失敗経験があったりする人は、それがトラウマとなり自己肯定感が育ちにくいと考えられています。そのような人は、努力をして成果を出しても「まだまだ足りない」と思い、自己否定をしてしまう傾向があります。
努力し続けることが難しい
自己肯定感が低い人は、努力を続けることが困難です。ありのままの自分を肯定することが苦手なため、夢や目標に向かう過程で壁にぶつかると自己否定の気持ちのほうが大きくなり、努力を続けられない傾向があります。
不安になりやすい
自分を信頼できず不安になりやすいことも、自己肯定感が低い人の特徴です。ありのままの自分を肯定することが苦手なため、小さなミスでも落ち込みやすく、失敗を恐れるあまり何事にも積極的になりにくいと考えられています。
承認欲求が強い
自己肯定感が低い人は、承認欲求が強い傾向があります。自分が他人からどう見られ、評価されているかが常に気になるため、やりたいことがあっても行動に移すのが苦手であると考えられています。自分で決断できず、意思決定を他人にゆだねるといった側面もあります。
自己肯定感が高いことのメリット
自己肯定感が高いと、複数のメリットがあります。具体的にどのようなメリットが期待できるのか見ていきましょう。
仕事で活躍できる
自己肯定感が高いと努力を継続しやすいため、目標達成にもつながりやすいといわれています。目標を達成する力があれば、会社での活躍が期待できます。
自己肯定感が高い人は常に前向きなので、知識の習得にも熱心であり、組織が前進するために思い切った行動をとることもできるのでしょう。
失敗しても立ち直れる
たとえ失敗しても、自己肯定感が高いと立ち直ることができると考えられています。ありのままの自分を肯定できているからこそ、失敗を前向きに受け止めることができるのかもしれません。
失敗を前向きに捉えられると、失敗しないために次はどうすればいいかを考えることができます。これにより、もう一度挑戦する意欲も持ちやすくなります。
自己肯定感が低いことのデメリット
自己肯定感が低いことには、どのようなデメリットがあるのでしょうか。主に、下記のようなデメリットがあると考えられています。
挑戦を避ける
仕事には挑戦がつきものです。しかし、自己肯定感が低いと、何事にも消極的で、取り組み始めたとしても努力が続かない傾向があります。また、新しい挑戦の機会ができたとしても、「どうせ無理だ」といった考えになり挑戦を避けてしまいがちです。こうしたことが続くと、仕事で活躍するのは難しくなってしまうかもしれません。
良い人間関係を築くことが難しい
自己肯定感が低いとありのままの自分を表現できず、良い人間関係を築くことが困難です。良好な人間関係のベースには信頼がありますが、自己肯定感が低い人は自分と他人を比べたがるため、信頼関係を育てるのが得意ではありません。他人や会社よりも自分を守ろうとする意識が強く、助け合いや連携もしにくいといわれています。
自己肯定感を下げてしまう良くない考え方
自己肯定感が低い人は、その原因となるような考え方や行動をしていることが多くあるといわれています。自己肯定感を下げてしまう良くない考え方を紹介します。
完璧主義
理想や目標が高いことには良い面もありますが、完璧にやろうとしてしまうと、できなかった際に自分を否定してしまいます。自己肯定感が低い人は完璧主義であることが多く、失敗してさらに自己肯定感が下がってしまう傾向があるのです。
一方、自己肯定感が高い人は「完璧でない自分」を受け入れています。完璧でなくても落ち込むことなく再び挑戦して、さまざまな場面で活躍できると考えられています。
ネガティブな思い込み
「どうせ◯◯だから」とあきらめたり「◯◯するしかない」と選択肢を狭めたりすると、物事を意欲的に取り組むことができません。「失敗は許されない」「弱音を吐いてはいけない」といった考えも、自分を否定することにつながりやすいでしょう。
このようなネガティブな思い込みは、自己肯定感を下げる原因になります。
自己肯定感の高め方
自己肯定感を高めるには、いくつかの方法があります。具体的にどのような自己肯定感の高め方があるのか見ていきましょう。
思い込みと事実を切り分ける
前述したネガティブな思い込みは、幼少期の親や教師の指導、友人との嫌な思い出などが影響していることが少なくありません。そうした思い込みは、幼い頃のできごとが原因となっているだけに手放すことは困難ですが、事実と区別することは可能です。
事実との区別をするには、自分自身の言動を振り返り、なぜそのような発言や行動をとったかを考えてみるといいでしょう。
その結果、「どうせ◯◯だと思ったから」「◯◯するしかないと思ったから」などが原因だとすれば、それは思い込みかもしれません。思い込みだと気づけば、次に同じような判断をする際は踏みとどまって考え直すことができ、前向きな決断がしやすくなるでしょう。
自分を許して励ます
人生には失敗はつきものです。失敗を許せなかったり責めたりすると、自己肯定感を高めることは難しいかもしれません。失敗やミスをしたとしても、そのような自分を許し、励ますことが大切です。そうすることで、次のチャレンジへの活力が出てきて、失敗を繰り返さない方法も考えられます。
自分を許して励ます過程では、思い込みをせず、事実に目を向けるといいでしょう。仕事で失敗したとしても、事実を冷静に見つめれば、「1年前の自分よりは良いできだ」と気づけるかもしれません。自分も気づいていなかった成長や良い面を見つけられると、新しい挑戦への意欲も出てきます。
小さな成功を積み重ねる
目標が高すぎると達成は難しいですが、低い目標であれば達成しやすくなります。目標をあえて低くし、小さな成功を積み重ねると、自己肯定感が高まります。
自己肯定感が低い人は、自分を他人と比較することが多く、完璧主義である傾向があります。そのために、理想や目標が高くなりすぎてしまうと考えられています。「週に1回運動をする」「1日15分勉強をする」など、難しくない目標を設けてクリアし続ければ、ステップアップしている自分を好きになることができるでしょう。
自己肯定感を高めて自分らしく働こう
自己肯定感とは「ありのままの自分を肯定できる感覚」のことで、物事に前向きに取り組み、成功をつかむ力になるのではないでしょうか。
失敗を許せない完璧主義や、「どうせ◯◯だから」といったネガティブな思い込みは、自己肯定感を下げる原因となる可能性があるため注意が必要です。完璧でない自分を受け入れ、小さな成功を積み重ねて、自己肯定感を高めていくことを試みてはいかがでしょうか。
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