健康経営アドバイザーとは?取得のメリットや取得方法も解説

健康経営アドバイザーとは?資格取得方法、メリットも解説

健康経営に取り組む企業が増える中、注目されている「健康経営アドバイザー」の役割とは?健康経営アドバイザー取得のメリットや、取得方法について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.健康経営アドバイザーとは?取得のメリットや取得方法も解説
  2. 2.健康経営に必要な知識を備えた健康経営アドバイザー
  3. 3.健康経営アドバイザーの役割
    1. 3.1.企業内で健康経営の指揮をとる
    2. 3.2.健康経営に関する最新情報のキャッチアップと周知
  4. 4.健康経営アドバイザーを取得するメリット
    1. 4.1.企業全体に健康意識を浸透させるのに役立つ
    2. 4.2.企業のイメージアップにつながる
  5. 5.健康経営アドバイザーと産業医の違い
    1. 5.1.産業医:医学的見地からアドバイスや指導を行う
    2. 5.2.健康経営アドバイザー:健康経営施策の企画立案、実施後フォローを行う
  6. 6.健康経営アドバイザーの上位資格となる健康経営エキスパートアドバイザー
  7. 7.効率的な健康経営のために、健康経営アドバイザーを設置しよう

健康経営アドバイザーとは?取得のメリットや取得方法も解説

健康経営に取り組む企業が増える中、健康経営の必要性を周囲に伝え、普及していく「健康経営アドバイザー」に注目が集まっています。

今回は、スムーズな健康経営の推進に欠かせない健康経営アドバイザーについて、その役割や資格取得のメリット、取得方法などを詳しく解説。健康経営アドバイザーの上位資格となる健康経営エキスパートアドバイザーについても併せて紹介します。


健康経営に必要な知識を備えた健康経営アドバイザー

健康経営アドバイザーは、経済産業省からの委託を受ける形で、東京商工会議所が2016年に設立した資格です。東京商工会議所の研修プログラムを修了し、効果測定に合格すると認定を受けることができます。

インターネットに接続できる環境と、PC・タブレット・スマートフォンなどのデバイスがあればどこでも受講できるので、多忙な会社員でも受講しやすいでしょう。

実際、受講者は健康経営に対する関心の高まりとともに増加し、現在では延べ3万人以上が受講しています。

なお、健康経営アドバイザーの難度は、それほど高くありません。基本的な知識を学ぶ研修の内容が理解できていれば、比較的簡単に取得することができるはずです。受講対象も特に限定されておらず、健康経営への取り組みの普及・推進を目指す人なら、誰でも受講することができます。

試験は、新規受講、更新受講共に、内容は変わりません。研修受講後にIBT(Internet Based Testing:インターネット経由で行う試験)形式の4択問題を10問受け、7割以上の正答率で合格となります。結果は即時判定ですが、期間内なら何度でも再受験できます。合格後の認定期間は2年間で、2年ごとに更新が必要です。

【参照】CBTS「健康経営アドバイザー研修」|株式会社シー・ビー・ティ・ソリューションズ
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkokeiei_data.html


健康経営アドバイザーの役割

健康経営アドバイザーが果たす役割には、「企業内で健康経営の指揮をとる」ことと、「健康経営に関する最新情報のキャッチアップと周知」があります。それぞれ具体的にどのような役割となるのか見ていきましょう。

企業内で健康経営の指揮をとる

健康経営についての知識を一通り身につけている健康経営アドバイザーは、組織の健康経営の旗振り役です。健康経営とは何か、なぜ取り組むべきなのか、取り組むことによってどのような成果が期待できるのかを社内に周知させるとともに、具体的な活動を推進しましょう。

まずは、活動内容を決めるために、社内の健康課題を抽出します。健康課題とは、「メタボリックシンドロームと診断されている人が多い」「肝機能に問題がある人が多い」「運動習慣のある人が少ない」「喫煙者が多い」といったものです。

健康診断やストレスチェックの結果を参考にしたり、社内アンケートをとったりして、従業員が抱えているリアルな健康課題を把握していきます。健康課題をピックアップしたら、解決のための施策を立案し、実行に移してください。

例えば、健康診断で血圧、脂質、肝機能に問題がある人が多いなら、肥満やメタボリックシンドロームの改善や、運動習慣の改善などを目的とした従業員向け健康セミナーの実施は選択肢のひとつです。また、健康増進スマートフォンアプリを使った運動キャンペーンの展開や、産業医・保健師との面談設定なども考えられます。

なお、身体的な症状だけでなく、精神的なストレスにも目を向けると、取り組みがより多様化します。「新たな気づきや学びの場が少なく、成長の実感に乏しい」「組織が停滞していて、モチベーションが上がらない」といった従業員が多いようなら、一定期間他社で経験を積む「企業間留学」や、現在の雇用先に籍を置いたまま他社で勤務する「在籍出向」を取り入れ、新たな学びや気づきを得てもらうのも有効です。

健康経営に関する最新情報のキャッチアップと周知

健康経営アドバイザーの認定期間が2年に設定されているのは、健康経営に関する情報や考え方が日々刷新されているからです。健康経営アドバイザーは、常に最新情報をキャッチアップし、適切な情報の収集に努めなくてはなりません。

自社に合った健康経営の施策がないか、より良い取り組みはないか、常に情報に目を光らせておくことも大切な役割のひとつです。


健康経営アドバイザーを取得するメリット

従業員が健康経営アドバイザーを取得することには、大きく2つのメリットがあります。それぞれ具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

企業全体に健康意識を浸透させるのに役立つ

健康経営を実践して効果を出すには、従業員一人ひとりに「健康であることの意義と、仕事への効果」を知ってもらう必要があります。しかし、ただ「健康経営をする」と宣言したり、「健康に気をつけるように」と伝えたりするだけでは、従業員の心を動かすことはできません。

企業の中で健康経営の気運が高まっていくように、健康経営アドバイザーが具体的な健康課題を丁寧にピックアップし、的確なアドバイスと施策によって解決することが一番の近道です。

「健康経営が始まってから、体調が良くなった」「健康診断の数値が改善された」といった実感が得られれば、従業員の意識も次第に変化していくでしょう。社外の認証資格を持たない従業員ではなく、健康経営アドバイザーによる具体的な啓蒙であってこそ、耳を傾ける従業員も増えていくはずです。


企業のイメージアップにつながる

健康経営への取り組みは、従業員の健康を第一に考えている企業であることを社内外にアピールし、取引先や求職者、従業員の信頼を得るのに役立ちます。そこで、従業員が健康経営アドバイザーを取得すれば、企業の積極的な姿勢をより強調することができるでしょう。

健康経営アドバイザーの資格は名刺に記載することもできるため、商談時のアイスブレイクから信頼関係を深めるのにも最適です。健康関連の商品を販売している企業であれば、提案や説明の説得力が増して商談を有利に進めやすくなるといった効果も期待できます。


健康経営アドバイザーと産業医の違い

健康経営アドバイザーの役割は、産業医と似ているように感じられるかもしれません。ここでは、産業医と健康経営アドバイザーの違いを確認しておきましょう。


産業医:医学的見地からアドバイスや指導を行う

産業医は、労働者が健康に働けるよう、医学的見地からアドバイスや指導を行う医師です。常時50人以上の労働者を使用する事業場では、必ず1名以上の産業医を選任しなくてはなりません。

産業医は、医師としての知見はもちろん、産業保健の理念や労働衛生に関する専門知識を備えている必要があるため、下記のいずれかの要件を備えていることが求められます。

<産業医の要件例>

  • 厚生労動大臣が定める産業医研修の修了者であること
  • 労働衛生コンサルタント試験の合格者で、その試験区分が保健衛生であること
  • 大学において労働衛生を担当する教授、准教授、常勤講師、またはこれらの経験者
  • 産業医の養成課程を修めて卒業し、実習を履修していること

【参照】厚生労働省「産業医について~その役割を知ってもらうために~」|厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署(2010年1月)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000103897.pdf


健康経営アドバイザー:健康経営施策の企画立案、実施後フォローを行う

健康経営アドバイザーの設置は、企業の義務ではありません。健康経営に取り組む企業が、必要に応じて設置するのが一般的です。

また、健康経営アドバイザーに求められるのは医学的なアドバイスではなく、産業医の存在を活かした健康経営施策の企画立案、実施後フォローです。

健康経営アドバイザーの上位資格となる健康経営エキスパートアドバイザー

健康経営アドバイザーの上位資格に、同じく東京商工会議所が運営する「健康経営エキスパートアドバイザー」があります。健康経営アドバイザーと同様、企業の健康経営の推進役として活動しますが、健康経営エキスパートアドバイザーのほうが、より具体的な計画の策定・実行に踏み込むことができるのが特徴です。
健康経営エキスパートアドバイザーになるための研修を受けるには、健康経営アドバイザーとして認定されていることに加え、下記のいずれかの資格を有していること、または対象となる実務において1年以上の経験があることが条件です。

<対象となる資格>

  • 経営・労務に関する資格:中小企業診断士、社会保険労務士
  • 医療・保健に関する資格:医師、保健師、看護師、労働衛生コンサルタント、管理栄養士、健康運動指導士

<対象となる実務経験(いずれも1年以上)>

  • 健康・医療・保健に関する実務:医療保険者・医療機関・健診機関等での勤務経験など
  • 経営に関する実務:経営者本人または、経営企画など企業経営に従事していた経験など
  • 人事労務に関する実務:人事担当者、労務管理担当者として従事していた経験など
  • 健康経営に関する実務:健康経営の普及や支援に携わっていた、企業などで実践に関わっていたなど

上記の条件を満たし、かつ知識確認テストの受験および健康経営エキスパートアドバイザー研修で開催されるワークショップに参加できる場合のみ、同研修の受講資格が与えられます。受験資格を満たしている人は、まず知識確認テストに申し込み、送付されるテキストで自己学習をしましょう。その後、選択した会場で知識確認テストを受験します。
テストの合否はメールで通知され、合格者は同研修が開催するワークショップに参加して効果測定を受けます。効果測定に合格したら、晴れて健康経営エキスパートアドバイザーです。

健康経営エキスパートアドバイザー研修の知識確認テストは、90分間50問の多肢選択式で、求められる正答率は概ね8割以上と、難度が高めです。また、同研修で行われるワークショップでは、ロールプレイングによるヒアリングスキルの習得、個人ワーク・グループワークによる具体的な助言力・提案力の習得などが行われるため、健康経営アドバイザーと比較して難関資格といえます。

健康経営エキスパートアドバイザー研修は年に2回実施され、合格者は東京商工会議所のウェブサイトに名前が掲載されます。

【参照】東京商工会議所「健康経営エキスパートアドバイザー研修とは」|東京商工会議所
https://www.tokyo-cci.or.jp/kenkokeiei-club/04/

効率的な健康経営のために、健康経営アドバイザーを設置しよう

東京商工会議所が管轄する健康経営アドバイザーは、確実に健康経営を実践する上でとても役立つ資格です。従業員が健康経営アドバイザーになることで、企業の健康経営をスピーディーに推進することができるでしょう。

「マイナビ健康経営」は、健康経営アドバイザーの資格取得を目指す人への情報提供や、具体的なアドバイスをすることも可能です。健康経営アドバイザーに興味を抱いている方は、お気軽にお声がけください。

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<監修者>
丁海煌(ちょん・へふぁん)/1988年4月3日生まれ。弁護士/弁護士法人オルビス所属/弁護士登録後、一般民事事件、家事事件、刑事事件等の多種多様な訴訟業務に携わる。2020年からは韓国ソウルの大手ローファームにて、日韓企業間のM&Aや契約書諮問、人事労務に携わり、2022年2月に日本帰国。現在、韓国での知見を活かし、日本企業の韓国進出や韓国企業の日本進出のリーガルサポートや、企業の人事労務問題などを手掛けている。


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