出向とは、出向元企業との関係性を保ちながら出向先企業との間で新たな雇用契約を結び、出向先企業で一定期間継続して勤務することをいい、サービスとしては主に「在籍出向」と「転籍出向」の2種類があります。そのうち「在籍出向」とは、労働者が出向元企業と出向先企業の両方と雇用契約を結ぶ通常の出向形態を指します。
一般的には、勤務に関わる事項(労働時間や休日など)は出向先の規定が適用され、身分にかかわる事項(定年や退職、解雇など)は出向元の規定が適用される傾向にあります。出向中の労働条件については「出向元企業」「出向先企業」「労働者」の三者間での話し合いによって明確にしておくことが重要です。
近年は、不況などにより人手が余剰となった企業が雇用を維持するために、人手不足の企業へ自社労働者を在籍出向させるケースが多いようです。出向元企業としては、雇用関係を維持しながら、労働者に他の業務を経験してもらうことで、労働意欲の維持・向上や能力開発につながることが期待できます。出向先企業にとっては、即戦力となる人材を確保することができ、労働者にとっても雇用が維持されるというメリットがあります。
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<監修者> 丁海煌(ちょん・へふぁん)/1988年4月3日生まれ。弁護士/弁護士法人オルビス所属/弁護士登録後、一般民事事件、家事事件、刑事事件等の多種多様な訴訟業務に携わる。2020年からは韓国ソウルの大手ローファームにて、日韓企業間のM&Aや契約書諮問、人事労務に携わり、2022年2月に日本帰国。現在、韓国での知見を活かし、日本企業の韓国進出や韓国企業の日本進出のリーガルサポートや、企業の人事労務問題などを手掛けている。 |