勤務間インターバル制度とは、前日の終業時刻から翌日の始業時刻とのあいだに、一定時間の休息を確保する制度のことです。具体的には、企業が事前に終業時刻から始業時刻との間の一定のインターバル時間を定め、仮に従業員に残業が発生した場合において翌日の始業時刻までインターバル時間に満たない場合、始業時刻を繰り下げるなどの施策が考えられます。従業員の長時間労働の防止や健康維持、疲労の蓄積を軽減して勤務時間中の集中力を高めることなどが目的です。2019年4月に施行された「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(労働時間等設定改善法)」の改正により、勤務間インターバルの実施が事業主の努力義務として規定されました。
インターバルの時間数については、「11時間が望ましい水準、9時間は最低限確保してほしい水準」など、複数の時間数を設定することも可能です。通勤時間はインターバルの時間に含まれるため、時間数の設定においては従業員の通勤時間を考慮して、休息が確保できているかという観点に立つことが重要です。
なお、勤務間インターバル制度の導入には、下記のようなメリットがあるといわれています。
<勤務間インターバル制度のメリット>
2021年7月に閣議決定した「過労死等の防止のための対策に関する大綱」では、2025年までに勤務間インターバル制度を知らなかった企業割合を5%未満とする、勤務間インターバル制度を導入している企業割合を15%以上とするといった数値目標が定められました。
勤務間インターバルの導入に取り組む中小企業への助成金事業もあり、今後も導入促進の動きが進むと予想されます。
【参照】
<監修者> 丁海煌(ちょん・へふぁん)/1988年4月3日生まれ。弁護士/弁護士法人オルビス所属/弁護士登録後、一般民事事件、家事事件、刑事事件等の多種多様な訴訟業務に携わる。2020年からは韓国ソウルの大手ローファームにて、日韓企業間のM&Aや契約書諮問、人事労務に携わり、2022年2月に日本帰国。現在、韓国での知見を活かし、日本企業の韓国進出や韓国企業の日本進出のリーガルサポートや、企業の人事労務問題などを手掛けている。 |