雇用調整助成金は、従業員の雇用を守ることを目的とした厚生労働省の助成金制度です。景気の後退などの経済上の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた企業が、従業員の雇用を維持するために一時的な休業等を実施した場合、休業手当・賃金等の一部が助成されます。また、休業だけでなく、教育訓練や出向によって雇用を維持した場合も助成の対象となります。
企業が助成を受けるには、雇用保険の適用事業主であることや、売上高や生産量が所定の割合以上減少していることなどの要件があります。また、助成対象となる「休業」とは、所定労働日に従業員を休ませることを指し、単に企業が営業を休むだけでは対象とはなりません。
本制度は、社会情勢などを踏まえてその都度内容や申請様式が改訂されています。そのため申請時には最新の内容を確認することが重要です。
2023年10月現在、新型コロナウイルス感染症による影響も「経済上の理由」に該当するとして、特例的に雇用調整助成金の対象となっています(2020年4月1日から2023年3月31日までの緊急対応期間中)。この特例措置においては、例えば、通常の雇用調整助成金の助成額(1人1日当たりの上限額)が特例的に引き上げられるなどの措置が取られています。
※雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)は2023年3月31日で受付けを終了しています。
【参照】
<監修者> 丁海煌(ちょん・へふぁん)/1988年4月3日生まれ。弁護士/弁護士法人オルビス所属/弁護士登録後、一般民事事件、家事事件、刑事事件等の多種多様な訴訟業務に携わる。2020年からは韓国ソウルの大手ローファームにて、日韓企業間のM&Aや契約書諮問、人事労務に携わり、2022年2月に日本帰国。現在、韓国での知見を活かし、日本企業の韓国進出や韓国企業の日本進出のリーガルサポートや、企業の人事労務問題などを手掛けている。 |