顧問とは一般的に、自身の経験や専門知識にもとづき企業の業務や経営方針等に対して助言を行う者です。ただし、経営に関する意思決定権はもちません。また、会社法で定められている役職ではないため、顧問を置くかどうかは企業の自由です。
自社にない知見による助言を求める場合は外部から顧問を採用しますが、退任した自社の社長やCEOなどが就任することも多く、そのようなケースでは特に「名誉役職」の意味合いが強くなります。
社長やCEOを務めてきた者が顧問として自社に残ることで、顧客との関係維持や後任への引き継ぎにおいてメリットをもたらす場合もあります。しかし、経営において顧問の影響力が大きくなりすぎてしまい、現役の経営陣の意思決定を阻害してしまう可能性や、意思決定の一貫性、経営の透明性を妨げる懸念があることも指摘されています。
経営にかかわる情報を開示する必要性が高まっているなか、東京証券取引所では2017年に「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」の様式および記載要領の一部改訂が行われました。そのなかで、代表取締役社長等を退任した者の相談役や顧問などへの就任の有無、役職・地位、報酬などを記載する欄が新設されました。
顧問に対して求める役割を明確にし、開示することが、今後さらに重要になっていくと考えられます。