エミーバンク協会設立記念イベント開催リポート

10年越しの構想がついに実現!エミーバンク協会設立で「笑顔の循環経済」が始まる

2021年5月27日(木)、一般社団法人エミーバンク協会は、設立記念イベント「エミーがつくる新しい社会価値」を開催しました(共催:株式会社マイネム)。無料オンラインイベントとして企画され(参加者は先着100人限定)、当協会の代表理事である末吉隆彦さんをはじめとする理事メンバーらが登壇。協会設立の背景や活動コンセプトについて熱く語り合ったイベントの様子をリポートします。

取材・文/中澤 仁美(ナレッジリング)
撮影・編集/ステップ編集部

目次[非表示]

  1. 1.「笑顔や幸せをインフラに……」その揺るぎない思いから始まった
  2. 2.「お花畑」と揶揄された構想が、時代のニーズに合い始めている
  3. 3.「感謝・恩送り」というコンセプトを自ら実践
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「笑顔や幸せをインフラに……」その揺るぎない思いから始まった

社会的課題の解決に事業として取り組むことで生まれる金融財(ゼニー)と、感謝・恩送りの気持ちを可視化した感謝財(エミー)――。この2つをバランス良く循環させていくことで、笑顔づくりと社会的課題解決の永続的な両立をめざすことができます。この価値観に基づき、社会装置事業の研究・普及・啓発活動を行うため、2021年4月1日にエミーバンク協会が設立されました。

設立を記念して開催された本イベントでは、まずは代表理事の末吉さんが登場。「前職(ソニーコンピュータサイエンス研究所など)で培ってきたテクノロジー、例えば笑顔認識技術などを生かし、中長期的な視野で笑顔や幸せをインフラにすることを考え始めた」という本活動のルーツを語りました。さらに、他の協会理事らとのエピソードを交えながら、構想から設立に至るまでの10年間の道のりを振り返りました。

エミーバンク協会設立記念イベント登壇者5名の紹介(上段・左から)エミーバンク協会理事で株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所GMの本條陽子さん、同協会理事で株式会社URUU代表取締役の江上広行さん
(下段・左から)同協会代表理事でマイネム株式会社代表取締役の末吉隆彦さん、同社代表取締役でNPO法人健康経営研究会副理事長の平野治さん、エミーバンク協会理事兼最幸顧問で叡啓大学学部長の保井俊之さん

「本條陽子さんとは、笑顔の力を可視化し、ためていくことでソーシャルグッドにつなげようと始めた『エミタメ』プロジェクトで活動を共にしていました。保井俊之先生とは、人の主観的ウェルビーイングと金融の関わりを研究する活動でご一緒し、その活動を通して江上広行さん、そして健康経営の生みの親である平野治さんとも出会いました」

どれも極めて運命的な出会いだったといえるでしょう。このメンバーたちの思いが結実し、世に送り出す社会装置の第1弾としてemmyWash(エミーウォッシュ)が誕生したのです。末吉さんは、エミーバンク協会設立の狙いについて次のように熱弁しました。

末吉さん
社会装置のことに造詣が深い平野さんと話し合い、試行錯誤を重ねる中で、他にも数々のアイデアが生まれていました。しかし、新型コロナウイルスが蔓延する前から感染症が社会課題の一つであると考えていたことから、「笑顔を認識させると手指消毒のための除菌液が出てくる装置」から始めようと決意したのです。当協会では、これからも感謝財であるエミー、金融財であるゼニーを可視化して社会で循環させるビジョンを推進し、その普及・啓発活動に取り組んでいきます。

続いて、平野治さん(NPO法人健康経営研究会副理事長)が登場し、エミーバンク協会の活動基盤となる社会装置について次のように解説しました。

平野さん
社会装置は、人と社会をつなぐ接点になるものです。3つの形態があると考えていて、その一つが「利他と利己の接点」をつくる装置(contact device)です。笑顔を感知すると除菌液が噴霧されるエミーウォッシュが、まさにその例です。個人のための笑顔づくり、除菌機能だけではなく、利用された回数(=笑顔の数)に応じて教育機関などへエミーウォッシュを無償提供するという仕組みであり、人と社会をつなげてくれます。こうした活動を通して、自己利益と社会的利益の両立が可能になるはずです。

社会装置は、他の形態として「コミュニティーの場」(community device)や「社会システムのような仕組み」(method device)も取りうるということです。社会装置にはさまざまな可能性があることがうかがえました。

エミーバンク協会の基盤である社会装置は「コミュニティーの場」にもなりうると話す平野さん(右下)エミーバンク協会の基盤である社会装置は「コミュニティーの場」にもなりうると話す平野さん(右下)

平野さん
エミーバンク協会ができたことで、社会装置を通して笑顔や感謝を分配する舞台が整ったといえます。エミーウォッシュは技術的に難しかったことを実現させた素晴らしい取り組みでしたが、あくまで第1弾であり、これで終わりではありません。これからもさまざまな企業と協業していきたいと思っているので、ぜひご期待ください!

平野さんは満面の笑みでそのように話し、会場全体が笑顔に包まれました。

「お花畑」と揶揄された構想が、時代のニーズに合い始めている

基調講演では、「人を幸せにするお金(エミーとゼニー)を創る」研究を手がけ、当協会の理事兼最幸顧問も務める叡啓大学のソーシャルシステムデザイン学部学部長、保井俊之さんがリモート参加。その研究成果や知見をもとに、お金に関する興味深い話を披露しました。

例えば、人は品物を買う「モノ消費」よりも、体験や経験にお金を払う「コト消費」のほうに幸福を強く感じるということ。また、お金は他人のため、大義のために使うほうが幸福感を得られやすいということでした。

保井さん
だからこそ、企業づくりや街づくりなど何をするにしても、人が幸せであるために重要なことはエミーとゼニーを適正に循環させていくことであり、当協会がめざす「笑顔の循環経済」はまさに理にかなっているのです。

保井さんは力を込めてこう語りかけました。

人は「モノ消費」より「コト消費」の方に幸福を感じやすいと話す保井さん(右上)人は「モノ消費」より「コト消費」の方に幸福を感じやすいと話す保井さん(右上)

後半のパネルディスカッションは、当協会理事の本條陽子さん(「エミー」の名付け親でもある)と江上広行さんも参加し、終始和やかな雰囲気で盛り上がました。江上さんからの「エミーについて一言で説明すると?」という問いかけに対して、パネラーたちは一言では語り尽くせないと悩みながらも、「愛するもの以外に渡してはならない」「笑顔のために使ってね、ありがとう!」「使うと自分と愛する人の笑顔が増えます」と回答し、各人のエミーに寄せる思いが露わになりました。

また、本條さんはエミーを名付けた際のエピソードや、「エミタメ」プロジェクトで「笑顔になると花が咲く鏡」(笑顔認識ミラーサイネージ)を制作した経験を話し、「まるで花が咲き誇るように、笑顔になると自分がハッピーになるし、その場もポジティブになります。エミーも同じで、使うだけでハッピーな気持ちが広がることを願います」と、今後の展開に熱い期待を寄せました。

とはいえ、こうして談笑できる日を迎えるまでにはパネラーそれぞれにさまざまな苦労があり、「まるでお花畑みたい」とエミーバンクのコンセプトを揶揄されることもあったということです。それでもテクノロジーの進化により、不可能だと思われたことが次々と実現可能になっていったことは、本活動の進捗を大きく左右したといえます。今の時代にピタリと波長が合ったことに、各パネラーが運命的なものを覚えているようでした。

「感謝・恩送り」というコンセプトを自ら実践

イベント終盤には、エミーバンク協会設立を記念したサプライズとして、特別な案内がありました。笑顔づくりと感謝・恩送りの気持ちの循環を目的として、エミーウォッシュ50台を全国の教育機関を対象に無償提供するということです。応募は2021年5月27日~7月31日まで、エミーバンク協会のウェブサイトにある「お申込みページ」から受け付けています。

エミーバンク協会設立を記念した企画発表の様子7月31日まで教育機関を対象にエミーウォッシュ50台を無償提供することが発表された

末吉さん
今後の私たちの活動については、ウェブサイトやSNSで随時報告していきます。自分たちの笑顔がエミーを生み、いろいろなところに送られて役立つ世界を目指しています。エミーウォッシュは感染症対策に役立つ社会装置ですが、今後はフードロスなどさまざま課題に挑戦していくつもりでいます。私たちの価値に共感する方は、ぜひ仲間に加わっていただきたいです。

本イベントは、こうした末吉さんの言葉で締めくくられました。エミーとゼニーの流れを可視化して笑顔あふれる優しい世界をめざす活動が、エミーバンク協会設立によりますます加速されることを期待したいですね。

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emmyWash

笑顔を感知すると除菌液を噴霧する「emmyWash(エミーウオッシュ)」は、世界の感染症対策に貢献する社会装置でもあります。詳しく知りたい方は、お問い合わせください。


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